BUSINESS 03

SALES &
ENGINEERING SERVICE

市販事業分野

栗山 順次

市販ソフト開発に
込めた想い

技術戦略本部
エグゼクティブエンジニア

栗山 順次

栗山 順次

挑戦しないほうがリスク。
その信念で立ち上げた
市販事業。

当社が自動車業界の壁を越えて、一般企業向けのソフトウェアを販売する市販事業に本格的に取り組むようになったのは、今から20年以上前のことです。私がデンソークリエイトを一度退社し、アメリカに留学してライフワークにしている音楽と英語を2年間学んで帰国したばかりの時でした。当時の社長から「そのチャレンジスピリットをデンソークリエイトで発揮してほしい。また会社に戻ってこないか」と誘われてデンソークリエイトに戻った私が、「せっかくなので新しいことをやらせてください」と志願してスタートしたのが市販事業でした。当初は4人ほどのメンバーで、企画をみんなで持ち寄ったり、採算性も検討しながら事業計画書を作成するなど、これまでやってきた受託仕事とは異なる業務に戸惑いながらも邁進する日々でした。こうした試行錯誤の中から誕生したのが今もバージョンアップを重ねている工数管理・プロジェクト管理ツールの「TimeTracker」です。

もともとデンソークリエイトには、ソフトウェアのどの工程にどの程度の時間がかかっているか、記録化し数値化しようという文化がありました。当初は独自に表計算ソフトでデータを集めたりしていたのですが、これが改善のための貴重な財産だと思うようになり、データを簡単に集めて蓄積と分析ができるようになれば、自動車関連に限らず幅広い業界で役立つのではないかと考えました。ですが、市販事業を立ち上げるにあたり、新製品ソフトウェアの開発も大変でしたが、幅広い業界に向けて発信するために必要なこと、例えばプロモーションやサポート体制の企画、ウェブサイトの立ち上げ、カタログ作成の進め方など具体的なスキルを持っていない状態であったため、まずは様々な協力会社を探すところから始め一緒にゼロから作り上げていく、そうしたまったくの手探り状態でのスタートとなりました。しかし、「挑戦しないほうがリスク」という信念を大切にして突き進み、今では「TimeTracker」は、製造業やIT関連企業はもちろん食品、金融、製薬会社など、幅広い業種の75,000ユーザーを超える導入実績を持つソフトにまで成長していったのです。

栗山 順次

他業種のお客様から
得られる貴重な学びを通し、
社員のエンジニアがチャレンジ
できる場を提供したい。

私が市販事業を立ち上げた目的は、単にデンソークリエイトという会社の売上げ拡大だけではありません。他業種の様々なお客様と関わることで知見を得て、そしてノウハウをデンソーグループにフィードバックしていくこと、もう1つは社員のエンジニアの皆さんが自由に新しい技術を学び、チャレンジできる場を作ることが大きな目的です。

この20年間でソフトウェアの開発規模は急速に拡大し、自動車もECUと呼ばれる小さなコンピュータが100以上も搭載されるようになりました。自動車が走ると同時に1億行ものソフトウェアが動作するようにもなったのです。今後自動運転やコネクティッド社会に向け、ソフトウェアの規模拡大はますます加速していきます。それに対応するためにソフト開発生産性を高めていくことは、デンソーグループに限らず自動車業界全体の大きな課題なのです。私たちが開発した製品も、工数を管理する「TimeTracker」に続いて設計レビュー支援ツールの「Lightning Review」、そして設計業務のDX化を進める次世代設計ツール「Next Design」へと広がっています。私たちの市販ソフトウェアがデンソーグループの競争力向上に寄与していきたいと思っています。

また、市販事業の仕事は直接お客様と会話をして、それぞれの業種のお客様の特徴や手法・ノウハウを知ることができますから、貴重な学びがたくさんあります。さらにAIなど新しい技術も積極的に採用する場にもなっています。社員のソフトウェアエンジニアの皆さんがワクワクしながら沢山のチャレンジをしてもらい、スキルアップできる場になることを期待しています。

近年はツールの販売だけではなく、お客さまの要望をきめ細かく満たせるようにカスタマイズして納入するソリューションサービスも展開。今後は海外展開も視野に入れ、市販事業を通してデンソークリエイトが国内外で存在感がある会社となるように成長していきたいと思います。それにより面白い人材が国内はもちろん海外からも集まり、エンジニアがいっそう楽しめるような会社になったら、これほど嬉しいことはないですね。